先端建設技術に関する技術開発を推進していくためには、公共事業の発注者のニーズを把握し、同時に複数の民間企業が保有する技術のシーズを集約し、委員会方式や共同研究方式などを通じて「産官学」の英知を集結することが大切です。
また、このような官民の枠組みを超えた連携を図っていくためには、中立・公平な立場で「官と民のつなぎ役」を行う組織が必要であり、このために平成元年に先端建設技術センターが設立されました。
以来、当センターは同目的を達成するために20年以上にわたって、無人化施工や大深度地下トンネル、新技術活用システム、建設副産物リサイクル技術、土壌浄化技術といった数多くの技術的課題について、自主研究や共同研究、研究開発助成、更には産官学共同委員会等を実施し、先端建設技術の推進に積極的に取り組んで参りました。
これらの研究成果は、年に数回開催する先端建設技術セミナーや広報誌などを通じて、関係者等に幅広く紹介し、先端建設技術の普及にも努めているところです。
平成23年10月12日(水)に東京虎ノ門のニッショーホールにて、先端建設技術セミナーを開催しました。
セミナーには行政機関、研究機関、設計・施工関係者など、約500名の方々の参加をいただき、また発表に関する熱心な質問や意見も寄せられ、大変盛況裡に終了いたしました。
長岡技術科学大学 工学部 環境・建設系 教授 丸山 久一 氏
国土交通省 東北地方整備局 企画部長 川嶋 直樹 氏
東日本大震災では、地震の規模が我が国の観測史上最大であったにもかかわらず、地震動による橋梁等の構造物の被害は非常に限定的でした。それに対して、地震によって生じた非常に大規模な津波により、木造住宅の破壊をはじめ、各種構造物が被災し、多数の人命が失われました。
丸山教授からは、土木学会の調査団の一員として調査された御経験から、各種構造物の被災状況を包括的に紹介していただきました。また地震や津波に対しての各種構造物の今後の設計思想についてのお考えを説明していただきました。
一方で、川嶋企画部長には、東日本大震災が発生して以来の東北地方整備局が行ってきた現地対応について、実際に津波が押し寄せてきた時の迫力ある生々しい映像を交えながら、系統だって紹介をしていただきました。
丸山 久一 氏
川嶋 直樹 氏
1 無人化施工の変遷と最新の技術動向について | 普及振興部次長 古澤 正紀 |
2 新技術活用システムの普及と活用の促進に向けて | 普及振興部参事 石丸 慶三 |
3 総合評価落札方式(高度技術提案型)の現状と課題 | 研究第一部 上席研究員 永井 一徳 |