先端建設技術に関する技術開発を推進していくためには、公共調達のニーズや戦略を把握し、同時に複数の民間企業が保有する技術のシーズを集約し、委員会方式や共同研究会方式、パイロット事業方式などを通じて「産官学」の英知を結集することが大切です。
また、このような官民の枠組みを超えた連携を図っていくためには、中立・公平な立場で民の新技術を調達に活かしていくような「官と民のつなぎ役」を行う組織が必要であり、このために平成元年に先端建設技術センターが設立されました。
以来、当センターは同目的を達成するために、25年間にわたって無人化施工や大深度地下トンネル、新技術活用システム、建設副産物リサイクル技術といった数多くの技術的課題について、自主研究や共同研究、研究開発助成、更には産官学合同委員会などを実施・開催し、先端建設技術の推進に積極的に取り組んで参りました。
これらの研究成果は、毎年開催する“先端建設技術セミナー”や“NETISプラス”等の広報誌などを通じて関係機関に幅広く紹介し、先端建設技術の普及にも努めているところです。
さらに今後は、成長戦略を支えるインフラ整備の重点化、社会資本ストック時代の到来と維持管理の重要性の増大、地球環境問題と災害の頻発に関わる国土保全対策の充実、といった国内の建設分野を取り巻く環境の変化に加え、海外のプロジェクトに対しても官民の垣根を超えたチームジャパンとしての取組みが必要とされています。
このような状況の中で当センターはこの4月に一般財団法人に移行し、従前にも増して所期の目的を達成すべく努力して参る所存です。
本セミナーが、皆様のお役にたちますことを期待いたします。
平成25年10月2日(水)に東京内幸町のイイノホールにて、先端建設技術セミナーを開催しました。
セミナーには行政機関、研究機関、設計・施工関係者など、多くの方々の参加をいただき、また発表に関する熱心な質問や意見も寄せられ、大変盛況裡に終了いたしました。
会場イイノホールの様子
「災害対応および原発事故対応のためのロボット技術開発と運用」
東京大学大学院
工学系研究科・精密工学専攻 教授 淺間 一 氏
東日本大震災および東京電力福島第一原子力発電所の事故においては、ロボット技術の適用が求められました。これまでに災害現場や事故現場で適用されたロボットや遠隔操作機器について紹介し、これまでの開発や現場投入において明らかになった様々な課題について述べていただきました。さらに、社会インフラや設備の老朽化に伴う点検・メンテナンスのニーズも含め、廃炉や今後の災害に対する備えとして、ロボット技術の活用において何が必要かについて述べていただきました。
淺間 一 氏
講演の様子
1.NETISプラス~技術開発のスパイラルアップを目指して | 技術調査部 部長 森下 博之 |
2.CIMの普及促進に向けて~先端建設技術センターの取組み | 技術調査部 兼 技術評価室 参事 緒方 正剛 |
3.がれき残渣の有効活用によるアップサイクルブロックの開発 | 常任参与兼企画部長 加納 敏行 |
株式会社大林組 技術第二部課長 森田 晃司 | |
4.無人化施工技術の変遷と最新の技術動向について | 企画部 兼 技術調査部 参事 吉田 貴 |